歯周病とは
「歯周病」はお口の中の細菌によって引き起こされ、歯を支える組織(歯周組織)に起こる病気の総称です。
- 口の中が臭う。
- 歯ブラシを使うと歯茎から血が出る。
- 歯茎がもりあがって歯にかぶさる、あるいは歯茎が後退して歯の根が出てくる。
- 放っておくと、最後には歯が抜けてしまいます。
歯の表面には粘り気のある薄い膜が毎日つくられていて、歯と歯肉の境目にたまってきます。
これが歯垢で、生きている細菌の集まりです。
細菌の出す毒素から歯肉に炎症が起こるのが、歯周病の始まりです。歯垢を放置すると歯垢はさらに付着しやすくなり、状態は悪化してきます。特に歯肉縁下にたまった歯石に歯垢が付着すると、歯垢中の細菌は歯を支えている骨を侵していき、歯周炎を進行させ、歯が抜け落ちてしまいます。
一般的に歯槽膿漏と言われる症状とは、こういう事を言います。
そこでこの歯垢を完全に除いて清潔にすることが歯周病の予防であり、治療の第一条件なのです。
歯周病は大きく分けて「2種類」ある
歯肉炎と歯周炎に、さらに歯周炎は、軽度、中度、重度と3段階があります。
1「歯肉炎」
歯肉の炎症が歯肉の部分に限局して起きている状態です。たいていの場合は原因、つまり細菌(歯垢と歯石)とり、丁寧なブラッシングをしてあげれば治ります。
2「歯周炎」
炎症が歯肉を越え、歯を支えている組織まで及んでいる状態。進行度合いにより軽度、中等度、重度に分けられます。
- 「軽度歯周炎」
X線で軽度の骨吸収が見られます。“本来の骨の位置“から”現在の骨の位置”の差が、歯周病による骨の吸収の量になります。この方の場合は約20%の吸収で「軽度」と診断されます。
やはりブラッシングと歯石の除去で治ります。 - 「中等度歯周炎」
50%弱の歯槽骨の吸収が見られると、「中等度」と診断されます。ブラッシング、歯石除去に加え、歯周外科などの他の治療が必要になる可能性があります。 - 「重度歯周炎」
歯槽骨が歯の根の先端まで吸収しており、グラグラで噛むことも出来ない状態。
「重度」と診断されます。こうなると抜歯をするしかありません。
一般的な歯周病(成人性歯周炎、慢性歯周炎)とは?
歯茎(はぐき)が赤く腫れた状態(歯肉炎)から進行した状態のことをいい、特徴的な症状として、歯茎(はぐき)からの出血が認められ、歯を支えている骨(歯槽骨)が破壊され、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)が、4mm以上になります。
このポケットの中に歯周病菌が入り込み増繁殖し、進行していきます。
具体的に状態を段階的に説明します。
歯周ポケットの幅が、6mm以上になると、歯槽骨の破壊がさらに進み、
ついには歯が抜けてしまうのです。
※他に急速に進行する歯周病として、以下のものもあります。
- 若年性歯周炎(破壊進行性歯周炎) ・・・思春期前後に発症し、非常に進行が早く破壊が著しい
- 急速進行性歯周炎 ・・・20~30歳にみられる
- 特殊性歯周炎 ・・・遺伝子疾患など特殊な全身因子により、歯周炎が急速に進行するもの
(例)パピヨン・ルフェーブル症候群、周期性好中球減少症、ダウン症候群、 前思春期性歯周炎など
歯周病を悪化させる要因は
歯周ポケットの中に隠れている見えない歯石(歯肉縁下歯石)と喫煙が主な原因とされています。
喫煙は、ニコチンが歯茎の血流を悪くするため、その結果、酸素や栄養が十分に行き渡らず、歯茎(はぐき)の抵抗力が弱まってしまいます。 タバコは肺がんの原因と言われていますが、歯茎(はぐき)の健康にも大敵なんですね!
他に二次的な要因として、外傷性咬合と呼ばれる状態があり、これは、そのままの噛み合わせでは歯や歯を支える歯周組織にダメージを与えてしまうような噛み合せの事を言います。
具体的には、早期接触、歯ぎしりによる側方圧、悪習癖、食片圧入、矯正力などで生じます。
他にも、
- 不適合な冠や義歯
- 不規則な食習慣
- ストレス
- 全身疾患(糖尿病、骨粗鬆症、ホルモン異常)
- 薬の長期服用
などが原因として考えられます。
歯周病がもたらす「口臭の悪化」
歯周病がもたらす様々な症状として、口臭の悪化が挙げられます。
歯周病の患者様の多くは、ブラッシングが効率的に行われていないことが多く、それらが歯周病、その口腔内の様々な病気を引き起こす要因になっているのです。
あなたはブラッシングに自信がありますか?
歯ぎしりにはどのようなものがあるの?
歯ぎしりは大きく3つの症状があります。
- グラインディング・・・歯をギリギリ擦り合わせる
- クレンチング・・・歯を食いしばる
- タッピング・・・歯をカチカチさせる
このうち、一般的に呼ばれる歯ぎしりとは、1のグラインディングです。原因としては、噛み合せの不調和とストレスなどの精神的因子によって起こる習癖とされています。
通常は、就寝中に起こり、外傷性咬合を起こし歯周組織を傷害します。
また今日、セルフコントロールの出来ない、無意識下に起こる下の顎の動きを総称して、パラファンクションと言います。
歯周病と全身疾患の関連性
歯周病はさまざまな全身疾患のリスクとなりえますので、歯周病は「歯の周囲の病気」と軽く考えずに、歯科を受診し、予防・早期治療をされることをお勧めいたします。
肺炎(呼吸器疾患) | 歯周病菌が肺に感染し肺炎になることがあります。 |
心臓病(心疾患) | 重度の歯周病になると歯周病菌による炎症からの血栓(血の塊)ができ易くなる(通常の人と比べ2倍!)ため、血流を阻害(動脈硬化)し、心臓が正常に機能するための酸素と栄養を制限してしまいます。これは、心筋梗塞や狭心症(心臓発作)につながります。 また、心臓の内側にある心内膜の炎症を引き起こし、細菌性心内膜炎になる場合もあります。 |
糖尿病 | 歯周病が糖尿病を引き起こすだけでなく、重度の歯周病は血糖値を上昇させ、血糖コントロールが難しくなり、さらに悪化してしまう可能性があります。 |
早産(低体重児出産) | 歯周病を持つ妊婦が早産をする確率は歯周病でない妊婦と比べてなんと7倍ともいわれています。 それは歯周病菌による口腔内の炎症が胎児の成長に影響すると言われているからです。 もしあなたが妊娠する予定があるのであれば、一度歯周病の検査だけでも受けておかれたらいかがでしょうか? |
歯周病の治療方法
歯周病治療を成功に導くには、患者さんと歯科医師、歯科衛生士との協力が必要です。
- 患者さんによる正しいブラッシング
- 歯科医師・衛生士が行う歯周治療
- 治療終了後のメインテナンス(定期健診とクリーニング)
ブラッシング | 歯周病の原因は歯垢(細菌)です。だから正しい歯磨きで歯垢を取ることは歯周治療の基本です。 歯ブラシは回数や長さより、磨き残しがないように磨くということが大切です。歯と歯の間に隙間ができている人は歯間ブラシやデンタルフロスの使用をお勧めします。ぜひ一度歯科医院でブラッシング指導を受けて下さい。 |
歯石除去 (スケーリング・ルートプレーニング) | 歯の表面に付いた歯垢(プラーク)に、唾液中のリンやカルシウムが結合して石灰化したものが歯石です。これは非常に硬く、自分ではとれません。歯周病に悪さをするのはこの根の表面についている歯石で、歯周ポケット内にあるため気づかないこともしばしばです。これをとるための治療をスケーリング・ルートプレーニングといい、歯科医院での治療が必要となります。 |
歯周外科手術 | 歯周病が進行している場合には歯周外科という外科手術が必要になることがあります。これは深いポケットの中の歯石を確実に取るため、またホームケアをしやすいように歯肉の形態を整えるといった目的があります。 いくつかの方法があり、その中には再生療法、審美を目的とした歯周外科といった治療法も含まれます。 当日はお酒や運動は控える必要があります。 |
歯石除去の必要性とは
歯石とは、プラーク(歯垢)と呼ばれる細菌の塊が石灰化したもので、一度歯にくっついてしまうと歯ブラシで除去することができなくなります。
歯石の表面はデコボコしている為、歯垢が付きやすく、歯茎を刺激して歯周病の原因や、歯周病を悪化させたりします。
歯石除去の進め方について
歯垢は歯磨きやデンタルフロスを用いて丁寧に口内ケアを行うことで落とせますが、歯石になってしまうと歯磨きやデンタルフロスでは落とせませんので、歯医者で歯石を除去してもらうことになります。
初診では、お口の中の状態(虫歯の有無など)を記録し、歯周病の検査、見た目では分からない内部の様子を確認する為レントゲン撮影を行い、その後、歯石の除去を進めます。
除石は歯科医や歯科衛生士により保険適用の費用で行うことができます。必要であればブラッシング指導も行います。
歯石以外の着色が気になる方はPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)※保険外もおすすめしておりますので、お気軽にスタッフにご相談下さい。
歯石を取ったあとのメインテナンス
歯石のつき方に関しては個人差があります。重要なのは、日々のブラッシング(ホームケア)です。
通常用いられる歯ブラシ以外にも、個人の歯並びや歯の形に合わせ、歯間ブラシやデンタルフロス等を用いて、歯の隅々まで丁寧に磨くことが大切です。
大崎シティデンタルクリニックでは、どんな商品を使ったらいいのかわからない、正しく使用できているのかわからない、そういった患者様の為に、より正しくブラッシングを行っていただくための、個々の患者様にあったオリジナルのブラッシング方法を指導させていただいております。
最近は、歯石を付きにくくする歯磨き粉もありますが、加えて、歯科医院で3~4ヶ月に一度の定期検診(メインテナンス)を行い、歯石を取ってもらう事をお勧めします。
また、新しい予防法として、歯周病菌を殺菌するための薬をマウスピースと併用して行う「ドラッグリテーナー」と呼ばれる方法もあります。
30才過ぎて日ごろの歯ブラシを怠っていると、急激に歯周病に移行しやすくなると言われています。
歯周病にならないためにも、日ごろのブラッシング、メインテナンスは欠かさないようにしたいものです。