前歯がギザギザでお悩みの方はいらっしゃいますでしょうか。小さい頃、永久歯が生え始めた際は、前歯がギザギザでも気になりませんが、成人してからも前歯がギザギザだと不安になる方も多いでしょう。
成人してからも前歯がギザギザの場合、どのような原因が考えられ、どのように対処していくべきか、その内容を説明します。
前歯がギザギザの場合はどうしたらいい?
歯を鏡で見た時に前歯がギザギザしていることが気になったり、自分の前歯がギザギザしているために思いっきり笑えなかったりするお悩みはありませんか?また、お子さんの生えたての永久歯がギザギザしていることに不安を抱いている方も多いでしょう。
前歯がギザギザしていると口元から見えるためコンプレックスに感じる人や、上手く食べ物を咬み切れているのか心配になり不安を抱く人も少なくありません。
前歯がギザギザである場合、以下のようなデメリット、リスクがあると言えるでしょう。
- 顔の印象が悪くなる
- コンプレックスから思いっきり口を開けて笑えない
- 自分の容姿に自信が持てない
- ストレスの原因になりかねない
- 唇を咬んだ時に傷つきやすい
これらのデメリットを改善するためにも、歯がなぜギザギザしているのか、原因を突き止めてみましょう。
前歯がギザギザになる原因
お子さんの乳歯が永久歯に生え変わる6歳から9歳のころ、「前歯の先端がギザギザとしているが、問題がないのか?」と、心配する声が親御さんから聞こえてくることがあります。
しかし、乳歯から永久歯へと生え変わる過程で、前歯がギザギザとなることは正常なことであり、特に問題はありません。
歯が生成される前の“なごり”が残っている
永久歯は顎の骨の中で育てられ成長を待って、役目を終えた乳歯と入れ替わりに萌出していきます。
永久歯は顎の中で3つの歯胚と呼ばれる歯のもとから発育葉と呼ばれる状態にまで成長し、それらが合わさって1本の歯となって生えてくるのです。3つの歯胚から形成された“なごり”として、生えたての歯はギザギザになるというわけです。
特に上下の前歯にギザギザが著しく現れます。このギザギザの部分を「切縁結節」と呼び、永久歯が生えてから2年~3年程で、ギザギザの部分が目立たなくなります。
嚙み合わせが悪い
しかし、永久歯が生えてから2年~3年経っても、ギザギザした部分が平らにならない場合には、前歯が適切に上下の歯と咬み合っていない可能性も否定できなくなります。
そのような場合には、顎の発育異常による反対咬合、開口などの歯列不正が考えられ、根本的な治療が必要な場合には矯正治療をおこなう必要があります。
成人しても歯がギザギザの場合に考えられること
これまでご紹介したように、永久歯が生えてきて2年~3年経過した時点で、前歯のギザギザが目立たなくなっていた場合には、とくに心配する必要はありません。
しかし、永久歯が生え始めて2年~3年ほど経過しているにもかかわらず、前歯のギザギザが目立つようであれば、以下で紹介する原因によって、前歯がギザギザしているおそれもあります。
歯が欠けている
歯がなんらかの理由により欠けてしまって、先端部分がギザギザとしている場合もあります。とくに上顎の前歯などは外部からの衝撃によって、欠けてしまうこともあります。
顔面を強打した、転んでしまったなどの覚えがある場合には、歯が欠けている可能性も考えられます。
3つの頭が割るようにギザギザしているわけではなく、その他の形でギザギザしている場合は、この可能性も視野に入れてみてください。
酸蝕症(さんしょくしょう)
酸蝕症によって歯がギザギザになることもあります。酸蝕症とは、酸性の食品や飲料によって歯が溶かされた状態を指します。
齲蝕(うしょく)とは虫歯のことを指しますが、酸蝕症は酸によって歯が溶かされること指し、一般的な虫歯は虫歯菌によって歯が溶かされる状態を指します。
特にスポーツドリンクや清涼飲料水などを過度に摂取してしまうと、酸蝕症になりやすく、歯の先端がギザギザになることもあります。
その他の症状として以下の症状が現れます。
- 歯の変色
- 歯が丸みをおびる
- 歯が透き通って見える
- 冷たい食べ物や飲み物で歯がしみる
- 歯が咬み合う面(咬合面)に小さな穴があいたように見える
また、逆流性食道炎や摂食障害による嘔吐などで胃液が逆流し、歯を溶かされるおそれもあり、これらの場合は、専門の医療機関での治療が必要となります。こういった場合には、歯科医院に相談することが必要になります。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりをする癖がある場合、歯の先端がギザギザとなるおそれがあります。普段食事をおこなう際には数kg~30kgほどの力が歯に加わります。
一方、歯ぎしりや食いしばりによって加わるチカラは成人の場合、50kg~100kg以上の力が加わるため、歯が削れてしまい、先端がギザギザになってしまいます。
歯並びと咬み合わせの関係が悪い
これまでご紹介したように、永久歯が生えてから2年~3年経過しても、歯がギザギザしている場合は、適切に上下の歯が咬み合うことのない歯列不正である、反対咬合や開口といった咬み合わせに問題があるおそれがあります。
加齢
年齢を重ねるごとに歯はもろくなる傾向にあり、強く咬み締めることにより、歯が割れたり、欠けたりすることによって、歯の先端がギザギザになることもあります。
この場合は、歯の劣化などが原因になっていると判断できます。
前歯がギザギザの場合の対処法
次に、前歯がギザギザとならないようにする対処法をご紹介します。原因に合わせて、以下の方法を試してみることで、ギザギザが解消される場合があります。
衝撃に気を付ける
歯は衝撃に弱く欠けてしまうことも多くあり、歯に強い衝撃が加わる可能性のある行為は、できるだけ避けましょう。
酸蝕症(さんしょくしょう)の治療を受ける
酸蝕症は酸性の食べ物や飲み物によって歯が溶かされていきます。酸性の食べ物や飲み物を摂取する時間が多ければ多いほど、歯が溶けてしまうリスクがともないます。
酸蝕症を防ぐためには、ダラダラと飲食をおこなうことは避け、決められた時間内に飲食をおこない、ポーツドリンクや清涼飲料水などの酸性の食べ物、飲み物を過度に摂取することは避け、適切な量にとどめておきましょう。
既に酸蝕症(さんしょくしょう)になってしまっている方は、治療を受けましょう。
マウスピースを装着する
歯ぎしりや食いしばりが原因となり、歯の先端がギザギザしている場合には、歯ぎしり用のマウスピースを装着して、歯がギザギザにならないようにしましょう。
マウスピースにはいろいろなタイプがあります。
奥歯のみを固定するタイプなどもありますが、前歯がギザギザであることを治したい場合には、もともとの自分の歯型を取りオリジナルで作成した、そのまま装着するタイプのマウスピースを歯科医院に作成してもらい、それを利用すると良いでしょう。
ラミネートべニアを貼り付ける
ギザギザな歯を修復する対処法として、ラミネートべニアを貼る治療法があります。ギザギザとなった歯の表面を少し削り、つけ爪と同じ要領で表面にラミネートべニアを貼り付けて、見た目を改善させる方法です。
健康な歯を削るデメリットはありますが、天然の歯と見分けがつきにくいセラミック製のラミネートべニアを貼ることで、ギザギザとした歯を改善することができます。
前歯は削ってもらえる?
単純に考えると「歯のギザギザの部分だけを削ればいいのではないか?」と考える人も少なくありません。もちろん、歯の先端部分のギザギザだけを削ることもできますが、一般的な治療法とは言えません。
なぜならば、先端部分のギザギザだけを削ると、知覚過敏を起こす恐れもあり、最悪の場合は歯の神経までも除去しなければならない事態となるリスクをともなうためです。この理由により、あまりおすすめはできません。
歯の表面組織であるエナメル質を削りすぎると、下の層に存在する象牙細管を通じて、歯の神経にまで刺激が加わり、歯がしみるような知覚過敏の症状が現れるおそれがあります。
知覚過敏の症状を抑える治療法を試しても効果が現れない場合、歯の神経を除去するほかに症状を改善する方法がありません。
歯の神経を除去してしまった場合、歯の寿命が短くなってしまう傾向があるため、神経を除去することは避けるべきであり、健康な歯をむやみに削らないようにしましょう。
まとめ
以上、今回の記事では、前歯がギザギザしている原因や対処法について詳しくご紹介してまいりました。前歯がギザギザとなっている場合には、さまざまな原因が考えられ、原因に合わせて対処法や治療法が異なります。
乳歯から永久歯に生え変わったばかりの頃の前歯のギザギザは、特に心配はありません。お子さんの歯が心配だという方も、前歯のギザギザが改善されるかは、2年~3年様子をみましょう。
成人しても前歯がギザギザの場合は、咬み合わせが適切でなかったり、歯がなんらかの理由から欠けていたり、酸蝕症の状態である場合もあります。
どちらの状態であっても治療が必要となります。成人している方で、前歯がギザギザの場合は専門機関である歯科医院へ相談しましょう。