大人になりかけているときに生えてくる、親知らず。
ジンジンと歯茎を押すような痛みに、しばらく辛い思いをする方も多いでしょう。
状態によっては親知らずの放置は危険であるため、歯科医院で早めの対応をすることが大事です。
そこで今回は、親知らずの種類と生え方、放置によるリスクについてお話しします。
親知らずの生え方の種類・放置によるリスク
親知らずとは
親知らずとは、前歯から8番目に生える歯で、医学的には『第3大臼歯』と呼ばれています。
18歳以降から生えてくるケースが多いとされていますが、24歳や25歳など、20代を超えてから親知らずが生えてくるケースも少なくなく、生えてくる時期は人それぞれであることが特徴です。
親知らずは上下と左右の奥歯よりも奥に、合計4本生えてくると考えられています。
しかし、時期同様に、本数も人それぞれであることが特徴です。
全てのケースで4本生えるわけではありません。
4本生えてきても、あごのスペースが小さいために埋まってしまい、目で確認できないケースもあれば、もともと2本しかない人もいます。
親知らずの種類と、生え方によるリスク
親知らずの生え方には4つのタイプがあり、『まっすぐに生えてくるタイプ』『横向き、または斜めに生えてくるタイプ』『骨の中に埋まっているタイプ』『逆向きに生えているタイプ』に分けられます。
親知らずの生え方の種類を解説します。
まっすぐに生えてくるタイプ
親知らず以外の歯と同じように、垂直に生えているタイプです。
他の歯にダメージを与えず、噛み合わせも良い状態であれば、口腔内にトラブルを起こすことは少ないと考えられています。
しかし、親知らずがまっすぐに生えてくるケースは決して多くありません。
仮に問題なく生えてきても、成長や口腔環境の変化につれて移動する可能性がないとは言い切れないため、歯科医師に確認してもらうことをおすすめします。
横向き、または斜めに生えてくるタイプ
横向きか斜めに生えてくるタイプの親知らずです。
まっすぐに生えてこないため、目で確認できるのは一部分だけであるケースが多いです。
このようなタイプではブラッシングがしづらくなることから、磨き残しがたまり、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。
横向きに生えている親知らずを放置しておいたために、親知らずの手前の歯に磨き残しが溜まってしまい虫歯になってしまう例もあります。
親知らずが倒れていることから手前の歯との間にプラークが残り、虫歯になってしまうのです。
このような場合は、早くに親知らずを抜歯しておくことで、虫歯を防ぐことができます。
虫歯になっていない内に、歯科医院に行くのがお勧めです。
さらに、口腔内の汚れが引き金となり、炎症が起こることもあります。
また、親知らずが正常な形で生えてこないと、噛み合わせや歯並びを悪くしてしまうリスクもあるため、歯科医師による適切な対応が必要です。
歯茎の中に埋まっているタイプ
歯茎の中で横向きに倒れ、完全に埋まっている状態のタイプです。
『まっすぐに生えてくるタイプ』『横向き、または斜めに生えてくるタイプ』とは異なり、目で確認することはできません。
虫歯や歯周病を引き起こすリスクはありませんが、骨の中に袋状の空砲『嚢胞』を作り、骨の圧迫をはじめとするトラブルを生み出してしまいます。
逆向きに生えているタイプ
親知らずの生え方は以上の3つがとりあげられることが多いですが、それらとは別のタイプが逆向きに生える親知らずです。
医学用語では『逆性埋没智歯』と呼ばれています。
口腔内には出てこないため、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性は低いですが、骨の中に嚢胞を作ってしまうケースもあります。
もし親知らずが目に見えない状態でも、歯の奥や口内が痛んだ場合は、逆向きに生えている場合を想定し、歯科医院でレントゲンを撮りましょう。
放置する場合のリスクと抜歯について
親知らずは生え方によって適した対応が違ってくるため、自己判断せずに歯科医師に相談し、必要な治療を受けることがとても大事です。
抜歯が必要なケース
『横向き、または斜めに生えてくるタイプ』『骨の中に埋まっているタイプ』には、抜歯が必要です。
横向きや斜めに生えてくる親知らずは虫歯や歯周病、炎症のリスクを高め、歯茎に埋まっているタイプは膿の袋を作るリスクがあるためです。
それ以外にも、『隣の歯とのあいだに食べ物が詰まりやすい』『かみ合わせを悪くしている』などの問題が見られる場合には、抜歯が必要になるケースが多くなります。
抜歯が必要ないケース
『まっすぐに生えてくるタイプ』では、他の歯へのダメージが見られなければ、抜歯をする必要はありません。
親知らずが生えてきたからと言って必ずしも抜歯するべきではなく、場合によっては親知らずを残したほうがいいケースもあります。
年齢を重ねたり歯を失ったりしたときに、入れ歯やブリッジの土台として親知らずが役立つためです。
だからこそ、歯科医院・クリニックで状態を的確に把握し、適切な対応を考えていくといいでしょう。
親知らずが埋まっているだけなら対応しなくても問題ない?
親知らずがまっすぐに生えてきていて、虫歯や歯周病のリスクを持たないなら抜く必要がありませんが、それ以外にも抜歯をしなくても良いタイプがあります。
『骨の中に完全に埋まっている場合』です。
その際は、ほかの歯へのダメージや痛み、腫れなどを起こさないことがわかれば、すぐに抜歯する必要性は低くなります。
骨の中に完全に埋まっている場合
骨の中に埋まっている親知らずは、親知らずのタイプでもよく見られるタイプです。
横向きでも斜めでもなく、口を開けたときに見えないタイプです。
正常に生えてくるタイプには分類されず、嚢胞を作るリスクがあることから、抜歯の必要性が生じるケースもあります。
ただし、すべてのケースにおいて抜歯が必要になるわけではありません。
骨の中に埋まっていても抜歯が必要ないケースは、以下の通りです。
- ①歯茎が覆いかぶさっていて、親知らずが全く見えない
- ②ブラッシングに困らず、磨き残しが残らない
- ③歯茎に痛みがなく、違和感がない
虫歯や歯周病などを引き起こしたりほかの歯にダメージを与えたり、歯肉に痛みを感じたりしないのであれば、すぐに抜歯する必要はなくなります。
それでも、抜歯の必要性を判断するには歯科医師による確認が欠かせないため、親知らずが生えてきたら歯科医院を受診しましょう。
親知らずで痛みを感じる原因と対処法
親知らずによって痛みを感じるとき、多くの方は「親知らずが歯茎から飛び出してくるから痛みが出る」「ほかの歯や歯茎、骨にダメージを与えるために痛くなる」と考えがちですが、
痛みの原因はほかのところにあります。
親知らずによる口腔トラブルが痛みを起こしている
親知らずによる痛みには、『虫歯・歯周病』『智歯周囲炎』『歯性感染症』などがあります。
虫歯・歯周病
親知らずが生えてブラッシングがしづらくなり、磨き残しや汚れが残りやすくなったために起こるトラブルです。
奥歯のさらに奥に生える親知らずは元々ブラッシングが難しく、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
そのまま放置しているとほかの歯に虫歯をうつしてしまうこともあります。
少しでも痛みを感じたら早めに歯科医院を受診しましょう。
智歯周囲炎
歯ではなく顎全体に痛みを感じるタイプの炎症です。
s親知らずのまわりにある歯茎に雑菌が繁殖し、痛みや腫れにつながりますss。
虫歯・歯周病と同じように、ブラッシングがしづらくなることが原因です。
痛みが強いタイプであるため、放置せずにできるだけすぐに歯科医師に相談しましょう。
歯性感染症
虫歯や歯周病、智歯周囲炎などによる感染症の総称です。
これらの病気が炎症を起こし、まわりの組織にダメージを与えることによって生じます。
種類としては、虫歯菌があごの骨に感染する『顎骨骨膜炎』、感染によってリンパ節が腫れる『化膿性リンパ節炎』などです。
顎骨骨膜炎は顔の腫れやズキズキとした痛み、化膿性リンパ節炎では高熱が目立つようになります。
痛みの放置は危険!
このように、親知らずの痛みの原因にはさまざまな原因があります。
放置することによって、歯肉炎や感染症などの病気が発症するリスクにもつながるため、楽観視は非常に危険です。
特に腫れが見られる場合は注意してください。
親知らずが生えてきたら見た目だけで自己判断せず、歯科医院に相談しましょう。
痛みや病気、口腔環境へのダメージを防ぐためにも、早めに行動が求められます。
親知らずの治療なら大崎シティデンタルクリニックにご相談
親知らずが生えてくると、痛みや腫れ、抜歯や手術への不安がいろいろと出てきます。
そのようなときには、ぜひ大崎シティデンタルクリニックにお問い合わせください。
当院では、患者さまに適切な親知らずの治療を提供できるよう、レントゲンや歯肉の検査に力を入れています。
患者さま一人ひとりの状態を慎重に確認し、納得していただける治療につなげていきます。
当院とともに親知らずにしっかりと向き合い、健康的な口腔環境と身体を守りましょう。